イノベーション&チャレンジデー 基調講演 「アフターコロナのオープンイノベーション」

~講演会を終えて~

 司会のJR西日本イノベーションズの奥野が代表して、聴講者の皆様からの質問を投げ、塩野様よりさらに深くアドバイスをいただきました。

 

(奥野)コロナ前とコロナ後での「オープンイノベーション」の変化を教えてください。

(塩野)オープンイノベーションの本質は変わっていないが、コロナで外部の異質なプレイヤーと直接会えないことに苦労したと思います。オンライン会議に慣れていない企業とのやり取りを進めるのが難しい。一方で、日頃多忙な経営層の方々が、オンラインで会議に出席してもらえることで効率的な対話ができるなど、プラス面もありました。

(奥野)塩野様は北欧でのファンド運営などされておられますが、ヨーロッパ、欧米において今後のビジネスや経済に関する課題のとらえ方の違いはありますか。

(塩野)例えば、脱炭素(カーボンニュートラル)は、今では、日本も含め様々な企業で参画していますが、まだまだ、名もない企業(スタートアップ企業)が、世界を変えると発言しても世間の受け止めは小さく、大きな世界感を掲げることに恥ずかしさをもっている様に感じます。それにくらべ、海外の企業は“主語・コンセプト”の大きさを”恥ずかしさ”を持たずに進めることができるからこそ、世界に通じるものが生まれています。残念ながら、そのような状況が日本には生まれ難いように感じています。企業側のアピール(伝え方)でいえば、最近の学生の社会への意識・感覚=「社会にとって良いことをしたい」ということを企業が理解し、自分たちのビジネスがどのように社会に貢献(役立っている)しているのか伝えることが大切ではないでしょうか。

(奥野)「イノベーションのきっかけ=自社にある何かを探すのが大事である」と先程の講演でお話しいただきましたが、社内でイノベーションの具体化を上司に伝えてもピンとこないことが多く、苦労することが多々あります。何かコツのようなものはありますか。

(塩野)「イノベーションを起こせ=新しいものを作り出す・生み出す」といわれたときには、人財が必要です。実際に、社内の他の部署などがオフィシャルに相互に人財を活用できる環境づくりや、専門性のある中途採用の社員が活躍できるネットワークが構築されるまで時間をかけることなどに、取り組んでいる企業もあります。オープンイノベーションにかける人財を社内で整理してもらうことをしっかりと伝えることも大切だと感じています。

(奥野)エース人財を獲得する上で、先天的な能力がある人を獲得したいと考えますが、一方で、後天的に能力を伸ばす方法もあれば教えてほしいです。

(塩野)まず、能力がある人・優秀な人の定義をもう一度、確認してみましょう。オープンイノベーションを進める上での優秀な人の定義は=「新しいものをつくりだす可能性がある人」ではないでしょうか。先天性、後天性にとらわれず、時間がカギ(どのくらいの時間で施策をすすめるのか)だと思います。急いで進める場合は、人を育てることは難しいが、人を育てながら進めていいのであれば後天的な育成も難しくないです。まずは、目的達成までの時間軸を組織内で握ることが大切です。

(奥野)期待値コントロールで求められる時間軸とハードルの高さにおいて、経営層と実行部隊との乖離が生じたときの向き合い方のアドバイスはありますか。

(塩野)視点によって受け止めは違うが「スタイル」は大事だと思います。「任せてもらったのか。プロセスまで見るのか。結果しかみないのか。」具体的に見ているものを双方が同じように感じていることが大事だと思います。

(奥野)大企業の人事のローテーションや専任化の動きの中で、人財の育て方はどのようにお考えでしょうか。

(塩野)人事制度を柔軟に変革する、出島を設置する、中途採用の活用など様々な方法があるが、今後、雇用の流動性は増していくと想定されます。優秀な人が辞めずに自社で継続して活躍してもらうのであれば、企業側が処遇などフレキシブルに進めるしかない。企業としてそれぞれ見方でありますが、そのような状況が増えてきているのが現状と感じています。

(奥野)「オープンイノベーション」を企業内で進める際、理解が得られるためのアドバイスはありますか。

(塩野)イノベーションの意義を特に経営層から発言してもらうことで、社内全体に伝わると考えられます。

(奥野)苦しい時こそチャンス!!とお話ありましたが、CVCはどんな役割を担えばいいのでしょうか。

(塩野)JR西日本イノベーションズを例にみると、ゼロからはじめて、組織同士の交渉・投資・状況を見続けてきている実績はあるが、次の段階では、オープンイノベーションとして他社と組むことだけではなく、自社の中から想いのもった社員が何かを生み出すことが重要です。そして企業側は、できる限り想いのもった社員の声を多く拾い上げることに価値があると感じています。

(奥野)最後にオープンイノベーションについて、みなさんにメッセージをいただけますか。

(塩野)軽やかさをもち、まず、始めてみること、これにつきます!!

ご清聴ありがとうございました。